解けたらコメントでも大丈夫なので、解答をお待ちしております。
最近解いたEGMOの良問(2017年のEGMO日本代表一次選抜試験の問題2)
最近解いた問題で、結構良問だったので紹介します。
2017年のEGMO日本代表一次選抜試験の問題2です。
問題解説
問題をわかりやすく解説してみます。
数列の各項を具体的に計算してみると、
と続いていきます。
そして、条件を満たす素数というのは、
です。
そのような素数が無数に存在することを示せばいいのです。
条件が弱そう。
というか、無数に存在しない、つまり有限個しかないとしたら
逆にびっくりです…。
方針
(解いているときの自分の心の声的な感じで)
数列の一般項をもとめる(をの式で表す)のは難しそう。
一般項を求めなくともわかるこの数列の性質を探してみよう。
何か進展がみられそう。やってみよう。
うーん。全然性質が見つからない。
ただ一つ見つかったことといえば、
(ただし、は自然数、は素数)
ということぐらい。
この見つかった性質からいろいろ進展させてみよう。
(ただしtは正の整数)
がいえる。
ってことは、のとき、
がいえる。
これを繰り返すと、
ということがわかる。
なんか使えそうになってきた。
あ、ひらめいたぞ。
と拡張すると、となって自然だ。
はどんな数でも割り切れるから、
上の式にを代入して
より
いい感じ。
しかし、条件を満たす素数が無数に存在することをどう証明すればいいのだろう…?
とりあえず、素数が無数に存在することの証明みたいに、背理法を使おう。
条件を満たす素数が無数に存在しないと仮定して、矛盾を導いてみよう。
とりあえず、条件を満たすような素数をそれぞれとおいてみて…
のどれでも割り切れないようなはないかなあ。
あ、がの全てで割り切れればいいのか。
おっ、これはさっき示したアレが使える…!
よっしゃ、できた。
解答
すいません、長くなりました。解答です。
解答
条件を満たす素数が無数に存在しないと仮定して、矛盾を導く。
ここで数列をと拡張する。
より、以降の項の値は変わらない。
条件を満たすような素数をそれぞれとおく。
また、1以上n以下の正の整数に対し、がで割り切れるような最小の正の整数をとおく。
このとき、
のとき
が成り立つ。
これを繰り返すことにより、
が示される。
よって、に0を代入して、
である。
したがって、
はで割り切れる。
の定義より、はで割り切れる。
しかし、はと互いに素であるから、これはのどれでも割り切れない。
明らかにより、は以外に素因数を持つことになり、矛盾。
あとがき
整数論の問題にしては、面倒くさくなく、また程よい難易度で、かなりの良問だったと思います。こんな問題たくさん解きたい。
arctanの無限和の問題
近畿大学主催の数学コンテストの過去問に,面白いものがあった.
第13回,B-3の問題である.
を示せ.
arctanのなかにってどうやって計算するんだ,て感じである.
この問題を解くために,まずはこのarctanの公式を説明する.
この証明から.
tanの加法定理より
ここでとおくと
と目的の式が得られる.
この式をどうやって使うかがカギとなる.
うまい値を代入したらいいのだが….
答えを言うと, を代入する.
こうするとより,
となり,目的の式に近づく.
が大きくなるとは正の方向に,は負の方向に値が変化するので,
しかもなので,
うまい具合に消えていきそうな気がする.
では解答行こう.
と定義する.
すると仮定より
である.
まず,次の等式を数学的帰納法により示す.
任意の自然数において,
のとき,
よりの等式を満たす.
x=kのときの等式を満たすと仮定する.このとき
また,
より,
となるので,のときも等式は成り立つ.
よって数学的帰納法により,の等式が成り立つことが証明された.
これができたらもう簡単である.
$\displaystyle \lim_{x \to \infty} f(x)$を求めればいいので,
より問題の式が成り立つことが証明された.
なかなか意外性のある面白い問題だと思った.
近畿大学主催の数学コンテストにはほかにも面白い問題が出題されているので,興味のある方は調べてみてはどうかと思う.
2017をn進法で書き表したら各桁の和がn
鯵坂もっちょさんのこのツイートが気になったので、考察してみました。
そもそも10進法2017の各桁の和も10だしn進法2017各桁の和がnになるのはほかにも10,19,22,25,29,33,37,43,49,57,64,73,85,97,113,127...といっぱいある けど2018には一つもない! ふしぎ!
— 鯵坂もっちょ@通販開始! (@motcho_tw) 2017年1月3日
2017を進法でこう書き表したとします。
(のときは自明に成り立つので、とします。)
ただし、はそれぞれ0以上以下の整数です。
すると各桁の和がになるということなので、
です。
以上まとめて、
となります。
ここで、①から②を引いてみましょう。
…③
となります。
この左辺に注目です。
(は正整数)というかたちがたくさんできましたが、
じつはこれらはという風に因数分解できます。
つまり、はすべてで割り切れます。
なので、左辺はで割り切れることが分かります。
③が成り立つためには、もで割り切れなければいけません。
なので、
がで割り切れる 2016がで割り切れる
ということが分かります。
つまり、2017を進法で書き表したら各桁の和がになるとき、
が2016の約数である必要があります。
ただし、必ずしも逆は成り立ちません。
(が2016の約数であっても、2017を進法で書き表したら各桁の和がになるとは限らない)
しかし、なので、2016の約数はたくさん(36個)あるので、
候補となるはたくさんあり、それだけ条件を満たすは多くなります。
では、2018を進法で書き表したら各桁の和がになるようなについて考えましょう。
同じような方針で計算していくと、が2017の約数である必要があります。
しかし、2017は素数です。n=2しか候補はありません(なので)。
2017を2進法で表すと11111100001であり、各桁の和は7なのでこれは条件を満たしません。
というわけで、2018を進法で書き表したら各桁の和がになるようなはないのです。
というわけで、2017がこのような性質を持てたのは2016のおかげなんですね。
昨年の2016はいろいろな性質を持っていましたが、今年も「2016+1」としていろいろな性質がありそうです。
#だま氏の謎
来年の年賀状は何か変わったことをしたいなと思い、この企画をしました。
2017年賀状特設ページ!
#だま氏の謎 です。
これは、だま氏が5つの謎を提示し、みんなに集団知で解いてもらうという企画です。
どれだけ早く解かれてしまうか楽しみです。
ルール
問題の発表は、1月1日の午前8時です。
半年ぐらい前に考えた問題がやっと解けた。
半年ぐらい前に考えた問題ですが、やっと解けました。
su-hai.hatenablog.com
これです。
解答
任意の奇数について、その倍数で各桁がすべて奇数となるようなものが存在することを示す。
任意の奇数を(ただしは5の倍数でない奇数)とおく。
まず、次の補題を示す。
任意のについて、すべての桁が奇数となる桁のの倍数が存在する。
数学的帰納法で証明する。
のとき自明。(5が条件を満たす)
次に、のときに命題が成り立つと仮定し、のときも命題が成り立つことを証明する。
の倍数で、各桁が奇数であるものをとおく。
このとき、はすべて各桁が奇数となる桁の数だが、このうち1つはの倍数であることを示す。
をそれぞれで割ると、となるが、は5の倍数でないため、これらはそれぞれ5を法として互いに異なる。
よって、のなかに5の倍数が存在するため、のうち1つはの倍数であることが証明された。
そして、すべての桁が奇数となるの倍数が存在することを示す。
まず、の倍数ですべての桁が奇数となる桁の奇数をとおく。
また、鳩ノ巣原理により、のなかにはで割った余りが等しいものが存在し、それぞれの差をとおけば、これをで割ったものはの倍数である(は5の倍数でない奇数のため)。それをとおく。
このとき、は各桁がすべて奇数である。よって証明された。
2017JJMO本選模試を解いてみよう(後半)
JJMO本選模試です!
— だま氏 (@dama_math) 2016年11月20日
例年よりは多少簡単なレベルだと思います。
RT希望 pic.twitter.com/Lpke3aRQoM
では、問4と問5の解答です。
問4
これは、点を置けるかどうかがカギになります。
所見でとれたらスゴいです。
解答
対称性より、点とはこの順に並ぶと仮定してよい。
の外接円と直線が交わる点をとする。
このとき、より、
4点P,D,A,Xは同一円周上にある。
よって、方べきの定理を使って
よって示された。
問5
これは、数学セミナーの2015年11月号の「エレガントな解答をもとむ」から出題。
問5らしい問題ではないでしょうか。
解答
「2点間のとりえる距離が2種類になる」という条件をとする。
正五角形の頂点はを満たすので、のときを満たす配置は存在しないことを示す。
まず次の補題を示す。
補題. もしを満たす6点からなる配置が存在したとすれば、そのなかに正三角形が含まれる。
証明. 配置の中のある点に注目する。この頂点とほかの5点とのそれぞれの距離は2種類なので、5つの点のなかに、同じ長さの距離をとる3点が存在する。これをとし、とおく。もしの中に長さがとなるものが存在したとすれば、一辺がの正三角形が含まれる。またそうでないときは、となるので、が正三角形となる。よって示された。
つぎに、正三角形が存在することが分かったので、正三角形に点を追加する方針で考える。
正三角形に点を追加してを満たすようにするとき、新しく点を追加できる位置は下の図のような場所しかない。
6点以上追加する場合、正三角形に3点以上追加する必要がある。を満たすためには新しくできる長さを同じにする必要があるため、考えられる配置は次の3つに限られる。
しかし、これらはすべてを満たさない。よって6点以上からなる配置は存在しない。
補足
証明で使われた補題は、ラムゼーの定理と呼ばれています。
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