数学徘徊記

自由な数学ブログ。

2017JJMO本選模試を解いてみよう(後半)


では、問4と問5の解答です。

問4

これは、点{X}を置けるかどうかがカギになります。
所見でとれたらスゴいです。

解答

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対称性より、点{P,A,B}{Q,A,D}はこの順に並ぶと仮定してよい。
{\triangle ABQ}の外接円と直線{PQ}が交わる点を{X}とする。
このとき、{\angle PDA=\angle ABC=\angle AXQ}より、
4点P,D,A,Xは同一円周上にある。
よって、方べきの定理を使って
{
\begin{eqnarray}
PD\cdot PC+QB\cdot QC&=&PA\cdot PB+QA\cdot QD \\
&=& PQ\cdot PX+PQ\cdot QX\\
&=& PQ(PX+XQ)\\
&=& PQ^2
\end{eqnarray}
}
よって示された。

問5

これは、数学セミナーの2015年11月号の「エレガントな解答をもとむ」から出題。
問5らしい問題ではないでしょうか。

解答

「2点間のとりえる距離が2種類になる」という条件を{P}とする。
正五角形の頂点は{P}を満たすので、{n\geq6}のとき{P}を満たす配置は存在しないことを示す。
まず次の補題を示す。
補題. もし{P}を満たす6点からなる配置が存在したとすれば、そのなかに正三角形が含まれる。
証明. 配置の中のある点{X}に注目する。この頂点とほかの5点とのそれぞれの距離は2種類なので、5つの点のなかに、同じ長さの距離をとる3点が存在する。これを{A,B,C}とし、{XA=XB=XC=a}とおく。もし{AB,BC,CA}の中に長さが{a}となるものが存在したとすれば、一辺が{a}の正三角形が含まれる。またそうでないときは、{AB=BC=CA}となるので、{ABC}が正三角形となる。よって示された。

つぎに、正三角形が存在することが分かったので、正三角形に点を追加する方針で考える。
正三角形に点を追加して{P}を満たすようにするとき、新しく点を追加できる位置は下の図のような場所しかない。
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6点以上追加する場合、正三角形に3点以上追加する必要がある。{P}を満たすためには新しくできる長さを同じにする必要があるため、考えられる配置は次の3つに限られる。
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しかし、これらはすべて{P}を満たさない。よって6点以上からなる配置は存在しない。

補足

証明で使われた補題は、ラムゼーの定理と呼ばれています。
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