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数学徘徊記

自由な数学ブログ。

x^2+y^2=n(z^2)の自然数解(1)

数学 整数論
\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\) はみんな知っている。
この自然数解は \((a^{2}-b^{2},2ab,a^{2}+b^{2})\) の形で表され、
無数にあるのは有名だが(ピタゴラス数)

\(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\) ( \(n\) は自然数)の自然数解は、
\(n\) がどんな時に存在するのか?


と言うことが気になった。

いきなり \(n\) を一般的にして考えるのは大変そうなので、まずは、 \(n\) を具体的な数にしてやってみる。


\(n=2\) のとき

色々式変形をしてみたら、うまい方法が見つかった。

\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\) が成り立つとき
\(2x^{2}+2y^{2}=2z^{2}\)
\((x^{2}+2xy+y^{2})+(x^{2}-2xy+y^{2})=2z^{2}\)
\((x+y)^{2}+(x-y)^{2}=2z^{2}\)  

この式を、よく見ると…!
\(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の \(x\) を \(x+y\) に、 \(y\) を \(x-y\) に置き換えたものとなっている。

よってピタゴラス数から \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解を構成することができる。
(例: \(3^{2}+4^{2}=5^{2}\) から \(7^{2}+1^{2}=2\times 5^{2}\) )

つまり、 \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解は無数に存在する。


  \(n=3\) のとき

このとき、自然数解は存在しない。

これは、無限降下法で示すことができる。

引用元:http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/fermat/descent.htm
(a,b,cをx,y,zに置き換えています。)
 九州大学前期理系(2014)で、剰余類に関する問題と無限降下法を融合した問題が出題された。

 以下の問いに答えよ。
(1) 任意の自然数\(x\)に対し、\(x^2\)を3で割った余りは0か1であることを証明せよ。
(2) 自然数 \(x,y,z\) が \(x^2+y^2=3z^2\) を満たすと仮定すると、 \(x,y,z\) はすべて3で割り切れなければならないことを証明せよ。
(3) \(x^2+y^2=3z^2\) を満たす自然数 \(x,y,z\) は存在しないことを証明せよ。

(証明)
(1) 任意の自然数 \(x\) に対し、
 
\(x \equiv 0 \pmod 3,x \equiv 1\pmod 3,x \equiv 2\pmod 3\)  

の何れかが成り立つ。このとき、

\(x^2 \equiv 0 \pmod 3,x^2 \equiv 1\pmod 3,x^2 \equiv 1\pmod 3\)  

よって、 \(x^2\) を3で割った余りは0か1である。
 
(2) 自然数 \(x,y,z\) が \(x^2+y^2=3z^2\) を満たすと仮定すると、(1)より、

\(x^2 \equiv 0 \pmod 3,y^2 \equiv 0\pmod 3,z^2 \equiv 0\pmod 3\)

の場合に限る。
よって、 \(x,y,z\) はすべて3で割り切れなければならない。

(3) \(x^2+y^2=3z^2\) を満たす自然数 \(x,y,z\) が存在すると仮定すると(2)より

\(x=3x',y=3y',z=3z'\) ( \(x',y',z'\) は自然数

とおける。このとき、 \(9x'^2+9y'^2=27z'^2\) より、 \(x'^2+y'^2=3z'^2\)
このような操作を繰り返すと、
自然数 \(x',y',z'\) はどこまでも小さくすることができる。
しかるに、 \(x',y',z'\) は自然数なので、このようなことはありえない。
よって、 \(x^2+y^2=3z^2\) を満たす自然数 \(x,y,z\) は存在しない。(証終)
\(n=4\) のとき

これはとても簡単だ。普通のピタゴラス数とほとんど同じである。


\(n=5\) のとき

これは少し考えたが、

\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\)
\(5x^{2}+5y^{2}=5z^{2}\)
\((4x^{2}+4xy+y^{2})+(x^{2}-4xy+4y^{2})=5z^{2}\)
\((2x+y)^{2}+(x-2y)^{2}=5z^{2}\)

\(n=2\) の時と同じように、ピタゴラス数から \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解を構成することができる。
 

まとめると、 \(n\) が2,3,4,5のとき、
\(n=2\) →自然数解は無数にある
\(n=3\) →自然数解は存在しない
\(n=4\) →自然数解は無数にある
\(n=5\) →自然数解は無数にある

自然数解が存在したり、存在しなかったりするのが分かる。
ここに法則性はないだろうか?

次回、いよいよ \(n\) を一般的にするので、お楽しみに。