arctanの無限和の問題
近畿大学主催の数学コンテストの過去問に,面白いものがあった.
第13回,B-3の問題である.
を示せ.
arctanのなかにってどうやって計算するんだ,て感じである.
この問題を解くために,まずはこのarctanの公式を説明する.
この証明から.
tanの加法定理より
ここでとおくと
と目的の式が得られる.
この式をどうやって使うかがカギとなる.
うまい値を代入したらいいのだが….
答えを言うと, を代入する.
こうするとより,
となり,目的の式に近づく.
が大きくなるとは正の方向に,は負の方向に値が変化するので,
しかもなので,
うまい具合に消えていきそうな気がする.
では解答行こう.
と定義する.
すると仮定より
である.
まず,次の等式を数学的帰納法により示す.
任意の自然数において,
のとき,
よりの等式を満たす.
x=kのときの等式を満たすと仮定する.このとき
また,
より,
となるので,のときも等式は成り立つ.
よって数学的帰納法により,の等式が成り立つことが証明された.
これができたらもう簡単である.
$\displaystyle \lim_{x \to \infty} f(x)$を求めればいいので,
より問題の式が成り立つことが証明された.
なかなか意外性のある面白い問題だと思った.
近畿大学主催の数学コンテストにはほかにも面白い問題が出題されているので,興味のある方は調べてみてはどうかと思う.