数学徘徊記

自由な数学ブログ。

黒峰問題

追記:ミスを直しました。

黒峰問題とは
\(2^x+3^y+5=z^3\)の非負整数解\((x,y,z)\)をすべて求めよ。

という問題で、まだ未解決です。
(1,0,2),(5,3,4)という2つの解は見つかっていますが、他は見つかっていません。

ここは略しますが、奇遇やmod 4, 7, 9で考えることにより\(y\)は奇数、\(z\)は4の倍数である2の倍数であることがわかります。
そして\(x\geq 5\)、もわかります。

移項すると\(3^y+5=z^3-2^x\)。\({\rm ord} _2 (3^y+5)\)についてみれば何かわかりそうです。

まず次の補題を使います。

補題
\(n\)を正整数とする。このとき
\[
{\rm ord}_2 (3^n-1) = \begin{cases}
1 & (nが奇数) \\
2+{\rm ord}_2 n & (nが偶数)
\end{cases}
\]

証明

\(n=2^t m\)(\(t\)は非負整数、\(m\)は奇数)と表す。\(t\)についての帰納法を用いる。

\(t=0\)の場合
\[3^n-1 \equiv (-1)^n-1 \equiv -2 \pmod 4\]
より\(3^n-1\)は2の倍数ではあるが4の倍数でない。
したがって\({\rm ord}_2 (3^n-1) = 1\)。よって証明された。

\(t=1\)の場合
\begin{eqnarray}
3^{2m}-1&=&9^m - 1\\
&=&(9-1)(9^{m - 1}+\cdots +1)
&=&8\times (奇数)
\end{eqnarray}
である。(\(9^{m - 1}+\cdots +1\)が奇数となるのは、奇数が奇数個足されているため)
したがって\({\rm ord}_2 (3^n-1)=3=2+1\)。よって証明された。

\(t=k\)(ただし\(k\geq 1\))のとき成り立つと仮定する。すなわち、
\[{\rm ord}_2 (3^{2^k}-1) = 2 + {\rm ord}_2 2^k = 2+k \]
と仮定する。
このとき、
\[3^{2^{k+1}}-1=(3^{2^k}-1)(3^{2^k}+1)=(3^{2^k}-1)\{(3^{2^k}-1)+2\}\]
であり、帰納法より\({\rm ord}_2 (3^{2^k}-1)=2+k\)、
そして\({\rm ord}_2 \{ (3^{2^k}-1)+2 \}=1\)であるから
\begin{eqnarray}
{\rm ord}_2 (3^{2^{k+1}}-1) &=& {\rm ord}_2 (3^{2^k}-1) + {\rm ord}_2 \{(3^{2^k}-1)+2\}\\
&=& (2+k)+1\\
&=& 2+(k+1)
\end{eqnarray}
よって帰納法の仮定より、すべての正整数\(n\)において証明された。

次に\({\rm ord} _2 (3^y+5)\)について考察します。
\(y=4k+1\)のときと\(y=4k+3\)のときに場合分けします。

\(y=4k+1\)のとき

補題を用いると
\[3^{4k+1}+5=\underbrace{3(3^{4k}-1)}_{16の倍数}+8\]
より\(3^{4k+1}+5\)は8で割り切れるが16で割り切れません。
すなわち\({\rm ord} _2 (3^y+5)=3\)です。

\(3^y+5=z^3-2^x\)ですが、z^3も2^xも32の倍数であることがわかっているので不適です。

\(y=4k+3\)のとき
\[3^{4k+3}+5=3^3(3^{4k}-1)+3^3+5\]
ここで
\[{\rm ord} _2 3^3(3^{4k}-1)=4+k, {\rm ord} _2 3^3+5=5\]
より、
\[
{\rm ord}_2 (3^y+5) = \begin{cases}
4 & ({\rm ord}_2 k=0) \\
5 & ({\rm ord}_2 k\ge 2) \\
6以上 & ({\rm ord}_2 k = 1) \\
\end{cases}
\]
となります。

しかし\(y=4k+1\)の場合と同様オーダーは5以上でないといけません。
じつはもうこの時点で\(y\)のmod 16がわかっています。