数学徘徊記

自由な数学ブログ。

Wilsonの定理の組み合わせ論的な証明

思いついたので.
Wilsonの定理
\(p\)を素数とするとき, \( (p-1)! \equiv -1 \pmod p\).

証明
(いくつか証明を略しているところがありますが埋めるのは難しくないです)

\(\mathbb{Z}_p\)の要素\(\{0,1,\dots,p-1\}\)の置換\( (q_0,\dots,q_{p-1})\)の集合を\[(q_0,\dots,q_{p-1})\sim (q'_0,\dots,q'_{p-1}) \\ \Leftrightarrow q_0-q'_0=\cdots=q_{p-1}-q'_{p-1}\]という同値関係で割った集合を\(A\)と置くとき, \(|A|=(p-1)!\)である. また, 群\(\mathbb{Z}_p\)の\(A\)に対する作用を, \(a\in \mathbb{Z}_p\)に対し\[a(q_0,\dots,q_{p-1})= (q_a,\dots,q_{p-1+a})\](添え字は\(\mathrm{mod}\ p\))で定めると, \(a\)によって固定される\(A\)の要素は\(a=0\)のとき\( (p-1)!\)個, \(a\neq 0\)のとき\(p-1\)個である. するとバーンサイド補題より, 軌道の数は\(\cfrac{(p-1)!+(p-1)^2}{p}\)で, これは整数なので, \( (p-1)!\equiv -1 \pmod p\)である. ■