この自然数解は \((a^{2}-b^{2},2ab,a^{2}+b^{2})\) の形で表され、
無数にあるのは有名だが(ピタゴラス数)
\(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\) ( \(n\) は自然数)の自然数解は、
\(n\) がどんな時に存在するのか?
と言うことが気になった。
いきなり \(n\) を一般的にして考えるのは大変そうなので、まずは、 \(n\) を具体的な数にしてやってみる。
\(n=2\) のとき
色々式変形をしてみたら、うまい方法が見つかった。
\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\) が成り立つとき
\(2x^{2}+2y^{2}=2z^{2}\)
\((x^{2}+2xy+y^{2})+(x^{2}-2xy+y^{2})=2z^{2}\)
\((x+y)^{2}+(x-y)^{2}=2z^{2}\)
この式を、よく見ると…!
\(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の \(x\) を \(x+y\) に、 \(y\) を \(x-y\) に置き換えたものとなっている。
よってピタゴラス数から \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解を構成することができる。
(例: \(3^{2}+4^{2}=5^{2}\) から \(7^{2}+1^{2}=2\times 5^{2}\) )
つまり、 \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解は無数に存在する。
\(n=3\) のとき
このとき、自然数解は存在しない。
これは、無限降下法で示すことができる。
引用元:http://www004.upp.so-net.ne.jp/s_honma/fermat/descent.htm
(a,b,cをx,y,zに置き換えています。)
\(n=4\) のとき九州大学前期理系(2014)で、剰余類に関する問題と無限降下法を融合した問題が出題された。以下の問いに答えよ。(1) 任意の自然数\(x\)に対し、\(x^2\)を3で割った余りは0か1であることを証明せよ。(2) 自然数 \(x,y,z\) が \(x^2+y^2=3z^2\) を満たすと仮定すると、 \(x,y,z\) はすべて3で割り切れなければならないことを証明せよ。(3) \(x^2+y^2=3z^2\) を満たす自然数 \(x,y,z\) は存在しないことを証明せよ。(証明)\(x \equiv 0 \pmod 3,x \equiv 1\pmod 3,x \equiv 2\pmod 3\)
の何れかが成り立つ。このとき、
\(x^2 \equiv 0 \pmod 3,x^2 \equiv 1\pmod 3,x^2 \equiv 1\pmod 3\)
よって、 \(x^2\) を3で割った余りは0か1である。
(2) 自然数 \(x,y,z\) が \(x^2+y^2=3z^2\) を満たすと仮定すると、(1)より、
\(x^2 \equiv 0 \pmod 3,y^2 \equiv 0\pmod 3,z^2 \equiv 0\pmod 3\)
の場合に限る。よって、 \(x,y,z\) はすべて3で割り切れなければならない。
\(x=3x',y=3y',z=3z'\) ( \(x',y',z'\) は自然数)
とおける。このとき、 \(9x'^2+9y'^2=27z'^2\) より、 \(x'^2+y'^2=3z'^2\)しかるに、 \(x',y',z'\) は自然数なので、このようなことはありえない。よって、 \(x^2+y^2=3z^2\) を満たす自然数 \(x,y,z\) は存在しない。(証終)
これはとても簡単だ。普通のピタゴラス数とほとんど同じである。
\(n=5\) のとき
これは少し考えたが、
\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\)
\(5x^{2}+5y^{2}=5z^{2}\)
\((4x^{2}+4xy+y^{2})+(x^{2}-4xy+4y^{2})=5z^{2}\)
\((2x+y)^{2}+(x-2y)^{2}=5z^{2}\)
\(n=2\) の時と同じように、ピタゴラス数から \(x^{2}+y^{2}=2z^{2}\) の解を構成することができる。
まとめると、 \(n\) が2,3,4,5のとき、
\(n=2\) →自然数解は無数にある
\(n=3\) →自然数解は存在しない
\(n=4\) →自然数解は無数にある
\(n=5\) →自然数解は無数にある
自然数解が存在したり、存在しなかったりするのが分かる。
ここに法則性はないだろうか?
次回、いよいよ \(n\) を一般的にするので、お楽しみに。