数学徘徊記

自由な数学ブログ。

昔、線を引いて遊んだこと。

 初めての代数編。
昔、こんな感じで線を引いて遊んだことがあるのだが…。
image1
0と1、0.1と0.9、0.2と0.8、…と線を結んでいくと、なんだか曲線が見えてくる。
直線が曲線を作るのは、かなり不思議である。

で、中1の時にこんなことが疑問に思った。
「この曲線はどのような式であらわされるのだろう?」

当時、微分っぽいことをするのはわかったが、具体的な求め方はわからなかった。

それから6か月後解けたので、その方法を紹介する。

sen1

あの曲線とそれを作っている任意の直線は接すると考えていい。

まず0<a<1を満たす実数aについて、
直線 \(y=-\frac{1-a}{a}x+1-a\) と \(y=-\frac{1-a-h}{a+h}x+1-a-h\) の交点を計算すると、
計算はめんどくさいが、x座標がa(a+h)のとき2直線が交わることがわかる。
同じように、直線 \(y=-\frac{1-a}{a}x+1-a\) と \(y=-\frac{1-a+h}{a-h}x+1-a+h\) の交点を計算することで
x座標がa(a-h)のとき2直線が交わることがわかる。

このhをだんだんと小さくすることで、この2つの交点はそれぞれ
だんだんとx座標が\(a^2\)に近くなっていく。
この近づいた点があの曲線との接線となるので、
任意の直線\(y=-\frac{1-a}{a}x+1-a\)とあの曲線は
x座標が\(a^2\)の点で接すると考えていい。

\(y=-\frac{1-a}{a}x+1-a\)に\(x=a^2\)を代入することで、
点\((a^2,(1-a)^2)\)があの曲線を通るということがわかる。

\(x=a^2,y=(1-a)^2\)でaが0~1の値を動くときのグラフは、
\(\sqrt{x}+\sqrt{y}=1\)のグラフに等しい。

よってこの曲線は\(\sqrt{x}+\sqrt{y}=1\)である。


ちなみにこれは放物線である。(行列変換で\(\frac{\pi}{4}\)回転させるとわかる。)
この曲線が放物線になるのは意外だった。

Wikipediaによると、これは「包絡線」というらしい。
包絡線 - Wikipedia

2016JJMO本選第4問

これは本番中全然解けなかったものの、
そのあと2週間後に解けた問題である。

なかなか面白かった。

財団が用意していた解答例と違ったので、書く。
問題
鋭角三角形ABCにおいて、垂心をH、外心をOとする。また、Oを通り直線に平行な直線とAB、ACの交点をそれぞれP、Qとし、線分AHの中点をMとする。このとき、∠BMP=∠CMQを示せ。

2016jjmoh4-1

この問題、点PとかQとかMとかいうよくわからない点を
どう扱っていくかが難しい。

これ、実は∠BMQが直角になるのである。
これは図を丁寧に書かないと気付かなさそう。

では、自分の考えた解答。

証明
2016jjmoh4-2

まず,辺AB,BC,BHの中点をそれぞれD,E,Nとする。
そして点Qから辺BCに下した垂線の足をRとする。

このとき,中点連結定理よりDN//AH,
またAH⊥BC,AH⊥OEよりAH//OE
よってDN//OE
同じようにしてEN//OD
ゆえに四角形ODNEは平行四辺形となる。
よってDN=OEが成り立つ。

また四角形OERQは長方形より,OE=QR
そして中点連結定理よりAM=MH=AH/2=DN
したがってAM=MH=QRが成り立つ。

2016jjmoh4-3
よって四角形AMRQ,MHRQも平行四辺形となるから,
AC//MR,MQ//HRが成り立つ。

ここで△MBRに注目する。
MH⊥BR,またAC//MR,AC⊥BHよりBH⊥MR
が成り立つことから,点Hは△MBRの垂心となる。
よって,RH⊥MBが成り立つ。

したがって,RH//QMより,
MB⊥QMすなわち∠BMQ=90°となる。

∠CMPについても同じことが言える。

したがって∠BMQ=∠CMPとなり,
BMP=∠CMQとなることが証明された。


点Hが△MBRの垂心にもなるというところが面白かった。

(図は、GebGebraを使用して作成した。)

2016年JJMOを受けてきた

やはり数学好きとしてはジュニア数学オリンピック (JJMO) を受けておきたい。
まだ中2なので、入賞すれば上出来、そうでなくても予選通過はしたいと思って臨んだ。


予選問題は、下記のリンクから。
http://www.imojp.org/challenge/old/jjmo14yq.html

予選は割とよくできた。
ちょうど当日の調子が良く、ノーミスで、予選を通過できた。
予選対策として色々な問題を解いていた甲斐もあった。
今回は図形の問題がやや難しかったと思う。


本選問題は、下記のリンクから。
http://www.imojp.org/challenge/old/jjmo14mq.html


本選前、考えていた構想としては

開始から
1時間 すべての問題をかじってみる
45分 一番解けそうな問題を解く
1時間 次に解けそうな問題を解く
1時間15分 その次に解けそうな問題を解く

というリズムで3問完答すればカンペキ、
でなくても2問は完答、1問はいいところまで解きたいと思っていた。


そして本番。問題をざっとかじってみたところ

問1は点M,P,Qが扱いづらく、1問目にしては難しいなあ、と。
問2は小さい場合に考えて、何となくはわかった。
問3は変数が4つもあるのがきつそうだ。
問4は点Mと点P、点Mと点Qを結ぶのをどう扱えばいいのかが全然わからない。
問5は、空港会社が2種類あると言うのがきつい。

という感じだった。 
しかも、得意な整数論がない。

というわけで、まずは問2の解答を書いてみようとしたが、書き方が難しい。
順に斜めに書くことをどうやってきちんと説明するのかということに時間を使ってしまった。
何回も書いては消し、表現を変えていった結果、想像以上に時間を食った。
しかし、なんとか45分くらいで終わらせることが出来た。 

次に問1を。
図をそんなに丁寧に書かなかったせいで、
線分PQと線分BCが平行であることに気づかなかった。
(というか計算で初めて気づいた。)
気づくのにかなり時間をとられ、30分ロス。
残り45分くらいになってしまった。

では残り45分の中、問3を解こうかと思ったが、
式を展開しても複雑なのには変わりがなく、手のつけようがなかった。

これはむりかと問4の方に手を出したが、
BMPをどのように移せばよいかということが全然わからなかった。

問5はもはやバケモノ。

というわけで、ここは部分点の取りやすそうな問4を解いてみることにした。

しかし45分は有効に使えず、
「辺AB、ACの中点をそれぞれ点D、Eとおくと、
四角形MDOEは平行四辺形になる」
ということしか書けなかった。

全体的に、良くできなかった。(といっても過去問を解いていつもこう)

教訓として、
「コンパス必須!図を丁寧に書き、予想をたてるべし」
である。
図を丁寧に書かなかったせいで、時間をロスした。
また、問4も図を丁寧に書けば発見があったろうに…。

問題コーナー(第1回)解答

この問題は意外な答えになります。

問題
三角形ABCがある。辺BC上にAB=PCとなる点Pを取ったところ、角PAB=角ACBとなった。
このとき、角ABCを求めよ。ただし角ABCは鈍角(90度より大きい)とする。

1:正弦定理による解答

△PBA∽△ABCより
BP:BA=BA:(BP+PC),BP(BP+PC)=BA^2
またBA=PCより、BC=\(\cfrac{1+\sqrt{5}}{2}BA\)
これを使うと、正弦定理より

\(\cfrac{BC}{\sin(\angle BAC)}=\cfrac{BA}{\sin(\angle BCA)}\)
 
\(\cfrac{\frac{1+\sqrt{5}}{2}BA}{\sin(\angle BAC)}=\cfrac{BA}{\frac{1}{2}}\)

\(\sin(\angle BAC)=\cfrac{1+\sqrt{5}}{4}\)

ここから、何とかして∠BAC=54°と求め、∠ABC=96°と求める。

2:初等幾何による解答
mon
△ABCの外心をOとすると、
AO=BO=CO、また∠AOB=2∠ACB=60°
よって△AOBは正三角形で、AB=PC=AO=BO=CO

そして、△ABPと△AOPにおいて
共通よりAP=AP…①、△AOBは正三角形よりAB=AO…②
また∠BAP=30°、∠OAP=∠OAB-∠BAP=30°より
∠BAP=∠OAP…③
①,②,③より△ABP≡△AOP、BP=OP

ここで∠OBP=θとおくと
∠BOP=θ,∠OPC=2θ,∠POC=2θ,∠OCP=θより
5θ=180°,θ=36°

したがって∠ABC=∠ABO+∠OBC=60°+36°=96°

正解者発表
この4人です!

2015-12-01 00:57:51
ゴンとも さん

2015-12-02 09:23:44
Mr.ダンデイ さん

2015-12-03 18:59:18
おいらー さん

2015-12-06 19:17:28
kasama さん

おめでとうございます!

問題コーナー 第1回(追加)

問題コーナー第1回、正直、正弦定理で余裕に解けると思っていませんか?実際そうなんですが…。

実は、この問題は初等幾何でも解けるんです!

考えてみてください!

問題コーナー 第1回

問題コーナーを作りました。
記念すべき第1回なので、自作の問題(自分では良問と思っている)を載せます。

問題
三角形ABCがある。辺BC上にAB=PCとなる点Pを取ったところ、角PAB=角ACBとなった。
このとき、角ABCを求めよ。ただし角ABCは鈍角(90度より大きい)とする。



解答はコメント欄にてお願いします。(コメントするにはこの記事の右上の「Comment」をクリック)
(解答は答えだけでも構いませんが、解き方、感想を書いていただけると嬉しいです。)
解答期限は12月25日まで、正解者発表&解説は12月31日です。

解答欄(コメント欄)にリンクを載せても構いません。

※注意
解答は1人1回しかできません。
2回目以降の回答はお断りします。

また、解答後すぐにはコメントが反映されません。
(反映されると答えが見えてしまうため)
ご了承ください。

解答受付は終了しました