数学徘徊記

自由な数学ブログ。

x^2+y^2=n(z^2)の自然数解(2)

前回分はこちら
x^2+y^2=n(z^2)の自然数解(1)

ここから、\(n\)を一般的にして考えてみる。
途中の式変形から考えると、

\(n\)が2個の平方数の和で表されるとき、\(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\)の解は無数に存在するのでは?

検証しよう。

\(n=a^2+b^2\)(\(a,b\)は自然数) と表されるとき、

\(x^{2}+y^{2}=z^{2}\)
\((a^2+b^2)x^{2}+(a^2+b^2)y^{2}=(a^2+b^2)z^{2}\)
\((a^{2}x^{2}+2abxy+b^{2}y^{2})+(b^{2}x^{2}-2abxy+a^{2}y^{2})=(a^2+b^2)z^{2}\)
\((ax+by)^{2}+(bx-ay)^{2}=(a^2+b^2)z^{2}\)
\((ax+by)^{2}+(bx-ay)^{2}=nz^{2}\)

やはりそうだ。
\(n\)が2個の平方数の和で表されるとき、\(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\)の解は無数に存在する。


では、その裏は…?

\(n\)が2個の平方数の和で表されないとき、\(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\)の解は存在しない

これが解けるのか?これは自分の力ではわからなかった。

ということで、Wikipedia先生に相談してみたら、答えが見つかった。
Wikipedia先生によると、これはオイラーが解決した問題に近く、
解き方はこうである。
出典元:Wikipedia - 二個の平方数の和
\(A=x^2+y^2\)が\(p\equiv3\;(\operatorname{mod}\;4)\)の形の素因数を持つと仮定して矛盾を導く(背理法)。\(p|a\)であれば
 
\(A=pa=x^2+y^2\)

と書ける。ここで\(p|x\)であれば必然的に\(p|y\)であり、\(p^2|A\)であるから両辺を\(p^2\)で除するものとする。\(p\not|x\)であれば\(xx^{-1}\equiv1\;(\operatorname{mod}\;p)\)となる\(x^{-1}\)が存在する。両辺に\((x^{-1})^2\)を乗すると

\(pa(x^{-1})^2=1+(yx^{-1})^2\)
\(\equiv{1+(yx^{-1})^2}\;(\operatorname{mod}\;p)\)
\(\equiv{(yx^{-1})^2}\;(\operatorname{mod}\;p)\)

となる。しかし、これは\(-1\)が\(p\equiv3\;(\operatorname{mod}\;4)\)の平方剰余にならないという事実に反する。従って、\(p\equiv3\;(\operatorname{mod}\;4)\)の形の素因数を平方以外の形で持つ合成数が二個の平方数の和で表されることはない。
すばらしい。
これとこの事実を合わせて使う。

1: 4を法として1に合同な素数は二つの平方数の和として表せる。

2: 素因数がすべて4を法として1に合同な素数となる合成数も、
   二つの平方数の和として表せる。

そうすると、

(1) \(n\)は4を法として3に合同な素因数を持つ。
(2) しかし\(x^2+y^2\)は4を法として3に合同な素因数を持たないため、
  \(x^{2}+y^{2}=nz^{2}\)の解は存在しない。

以上のことが言える。

結構奥が深い問題だったなぁ…。